自分なりの読書方法
最近、一人の作家を集中して読むことにハマっている。ここ一か月はもっぱら、大江健三郎だ。
今まで読んでいるのを、大まかに分けると……
- 20代の頃の「共同生活」「セブンティーン」「性的人間」
- 40代後半からの「雨の木」シリーズ
- 障がい児をモチーフにした「新しい人よ眼ざめよ」「人生の親戚」「定義集」
特に難解なのが「新しい人よ眼ざめよ」で、詩人でもあり画家でもあるウィリアム・ブレイクの詩を出しながら、人間の生き方を定義していくという小説だ。社会の規範や制度が分からない息子(障がい児)のために、社会の定義集を作っていく流れである。
正直言うと一回読んだだけでは、理解できなかった。他の作品も読みながら、大江健三郎の思想を知らないと、ちゃんとは理解できないだろう。一人の作家を深掘りしているのは、この為でもある。
小説を読むのが好きなひとなら、ぜひ深掘りする読み方を試してほしい。その時は、知の巨人と呼ばれるような作家を相手にすべきである。読めば読むほど味が出てきて、作品の奥深さが見えてくるだろう。