恵比寿〜目黒を散策してみた。ヱビスビール、目黒のさんま、そして寄生虫。
目黒といえば思い出すのが、落語の『目黒のさんま』。
目黒不動へ参拝しに、目黒へやってきたお殿様。どこからともなく秋刀魚を焼く香りが漂ってくる。江戸時代、秋刀魚は下魚(げうお)と呼ばれていて、お殿様が食べるような代物ではなかった。家来が止めるのを振り切って、脂の乗った秋刀魚をパクリ。こりゃ美味い。あまりの美味しさに夢にまで出るほどだ。
そんな話を聞いた黒田筑前守。悔しく思ったのか、房州(千葉県)の網元から秋刀魚を手に入れる。だが、料理人が要らぬ世話をやき、脂と塩気をすっかりと取り除いてしまった。ちっとも美味しくないと言う黒田守にお殿様は、「やはり秋刀魚は目黒に限る」。
お殿様の知ったかぶりが面白い、有名な話です。今日は「目黒のさんま」のゆかりの地を散策してみました。
まずやって来たのが、JR山手線の恵比寿駅。ヱビスビールが先にあって、恵比寿という名前が付けられている珍しい駅だ。せっかく恵比寿に来たなら行くしかないでしょ。ってことで恵比寿ガーデンプレイスにあるビアホールへ。
赤レンガの建物がシックな「ビアステーション」。
真昼間でしたが、生ビールの誘惑には勝てませんな。エールビールと黒ビールを半々にあわせたハーフ&ハーフを注文。さしずめビール界のマツコデラックス。スッキリとした性格ですが、ちょっぴりクセのある発言が心地よい。
外に出ると、金色のオブジェクトを見つけました。浅草のアサヒビールタワーに金色のウ◯コがありますが、「あれのパクリかな?」とアホなことを考えつつあとにしました。
そこから目黒川の方へ向かうのですが、高台になっているので至るところに坂があります。途中で出会ったのが「茶屋坂」と呼ばれる坂。
周りは住宅地ばかりで、いたって普通の坂ですが、実はここは「目黒のさんま」と関係があるのです。坂の中腹に看板があったので見てみましょう。
この茶屋坂には「爺々が茶屋」があって、鷹狩に来ていた将軍がよく休憩に立ち寄っていたらしい。今は高層ビルばかりで富士山を望むことができませんが、風光明媚な土地だったのかと江戸時代に思いを馳せます。
坂を下り、目黒川沿いを散歩。桜の時期には人がごった返しますが、この時期は歩きやすいですね。
橋の下にオシャレなペイントがしてあって、思わぬ発見が楽しい。ちょっとしたアートに触れられます。
目黒新橋で川を渡り、少し歩くと奇妙な博物館を見つけました。
それがこちらの「目黒寄生虫館」。ありとあらゆる寄生虫の標本をまとめているニッチな博物館。施設は小さいのですが、標本のバリエーションは多いですね。8.8mのサナダムシなど、かなり強烈な見た目で、グロテスク好きにはたまらない内容です。
ちなみに僕が一番気に入ったのが、このウミエラビル。ムーミンのニョロニョロみたいでかわいいっすね。
ちなみに秋刀魚には、アニサキスやサンマヒジキムシが寄生していることがあります。生で食べるときは注意しましょうね。
寄生虫館をあとにし、そこから瀧泉寺を目指します。この瀧泉寺に、今回の散策の目的でもある目黒不動が祀られているのです。
階段を上ると、朱色の本殿が目の前に広がります。この不動明王さまを参りに殿様も来ていたかと思うと、何だかご利益が凄いありそうな気がします。財布に入っていた53円を賽銭箱に投げ入れ、足が疲れているので無事に帰れますよーにとお願いしておきました。
そのあと再び目黒川を渡り、心臓破りしそうな坂をのぼりまして、山手線の目黒駅へとたどり着きました。無事に到着できたのは不動明王さまのお陰でしょうか?いや、そんなわけはねぇか。
↑今回歩いたルート。