古本みたいな人生。
もすです。
図書館で本を借りてきたのだが、書き込みがしてあった。一時期、「痕跡本」というものが流行ったことがあった。古本に彼女に向けた手紙が挟み込んであり、その内容が別れる寸前の男の弁解のようなもので、その背景を想像してしまう。そんな風に、勝手に物語を想像させてしまう痕跡を残したものを「痕跡本」と呼ぶのだ。
他にも、線が引いてあったりする事もあろう。前の読者がどんな所に注意しているのか、興味があるのかが分かって、これも面白い。自分ではありえないところで線を引いたりしているので、こんな考え方もあるのかと驚かされることもある。
そのような考えさせる「痕跡本」だったら良いのだが、何も考えさせてくれない「キズ本」は腹が立つ。今日借りてきた本には意味不明なところでカギカッコを入れてあったのだ。こんな風に中途半端な「部分にカギカッコを入れてきていて、挙句の果てにはカッコが終わらないという、歯痒さを残してくる。読みにくいったら、ありゃしない。
消しゴムで消してもいいのだが、このまま残すことにしよう。次の人もこの歯痒さを味わってほしいし、どんな痕跡も残すべきだしね。
「事業で成功して、社会に大きな傷跡を残したい」
こんな大それたことを言っている人はよく見るが、古本のカギカッコのような傷跡をたくさん残していく、そんな人生も僕は好きだなぁ。